2007年度末に国産ジェット旅客機の事業化が決定され、2012年度の初飛行、2014年度の市場投入を目指して開発が進められています。わが国ではYS-11以来、約半世紀ぶりの国産旅客機の開発です。開発機は同サイズの従来機に比して20%以上もの燃費向上を実現する、環境に優しいハイテク機です。航空機の環境適合性向上は世界的に重要課題となっており、わが国においても、2003年度から経済産業省新エネルギー・産業技術総合開発機構によって「環境適応型高性能小型航空機研究開発」プロジェクトが実施されました。このプロジェクトは低燃費、低騒音、操縦容易性を実現する航空機関連技術の研究開発を行うもので、宇宙航空研究開発機構(JAXA)では同時期に研究プロジェクトを立ち上げ、共同研究機関として参画してきました。
プロジェクトでは航空機メーカーとの共同研究を通じて、燃費向上、安全性向上等に関するニーズの高い先端技術の研究に取り組んでいます。また、日本における継続的な航空機産業の発展に寄与すべく、将来性のある技術課題を抽出し、先行的な研究も進めています。研究開発は以下のように、空気力学、機体騒音、空力弾性、構造、複合材、操縦システム、各種試験技術など航空機開発に不可欠な多くの分野をカバーしてます。
計算流体力学(CFD)や材料などは他分野への影響が大きい航空機関連技術です。 JAXAでは航空機メーカーとの共同研究を通じて、これまで培ってきたこれらの先進技術を実機開発へ適用可能な水準まで高度化する実践的研究開発に取り組んでいます。また、風洞や材料・構造試験設備、飛行シミュレータ、スーパーコンピュータなどの大型試験研究設備を整備、供用しています。
機体の重量低減や離着陸特性の改善に大きな効果がある高揚力装置(フラップやスラット等)の空力特性予測技術や空力形状の最適化技術の研究、風洞試験において詳細な空力データを取得するための先進光学計測適用技術の研究や抵抗計測技術などを行っています。
近年のエンジンの低騒音化に伴い、離着陸時に機体から発生する空力騒音の低減化が重要になってきています。主な騒音源としては高揚力装置と降着装置があげられており、これらの騒音発生機構の解明と騒音予測技術及び計測技術の確立、さらにそれらを基にした低騒音化技術の研究を行っています。
機体構造の軽量化に対して空力弾性学の分野からアプローチするため、遷音速領域で高精度にフラッタの数値シミュレーションが可能なツールの開発を進めています。また、安全にフラッターの風洞試験/飛行試験を行うため、フラッターが発生していない時の計測データから模型や機体のフラッター速度を推定するための研究を進めています。
航空機(飛行中)の構造上の安全性を高める研究を進めています。また、航空機が陸上、水上に万一不時着するような場合に備え、衝撃に対して安全性の高い客室構造の研究を行っています。
複合材を機体に用いることによって大幅な軽量化が期待されています。そこで、製造コストが低く強度が高い複合材の研究開発を行っています。
航空機にはさまざまな荷重が作用するため、使っているうちに構造が劣化(疲労)します。そこで、構造の安全性、信頼性を維持管理するための研究を行っています。
飛行シミュレータや実験用航空機を用い、操縦システムやコックピット技術に関する研究を行なっています。パイロットが操縦しやすく安全性の高いコックピットを実現するための技術開発や評価・試験方法の検討を実施しています。